Better late than never.
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いつかどこかで誰かが言った表現的巧みで印象を刻んだ知恵のことば、人から人へ伝染し、土地から土地に伝播し、時代から時代へと伝承した、よみ人知らずの名言、この諺(ことわざ)なるものを選んで「英語、ことわざ10選」、その表現テクニックを今は伝授するといたしましょう。
English sayings speak volumes about life and English.
Better late than never.
(遅くてもしないよりまし)
A promise kept late is just as much of a fulfilled promise as a promise kept promptly. A whole lot better late than never. Nevertheless, your procrastination might compromise your promise: your “late” and “later” may never come. Not only should you be as good as your word, but in carrying it out, the sooner, the better.
(遅ればせに果たした約束も、さっさと果たした約束も約束を果たしたという点では全く同じこと。果たさないより、遅くなっても果たすほうが断然よし。とは言うものの、遅延は約束を傷つけかねませんね。「遅れて」とか「後で」は全く当てになりませんから。約束は当然守るもの――約束を実行に移すなら、早ければ早いほどよし)
「遅くてもしないよりはまし」を普通に英訳するとa.、表現をレベルアップするとa. → b. → c.の変形(意味が変わらず形態が変わること)プロセスで簡潔化を進めることになります。
a.→b.でhave to doのdo省略、b.→c.でnot to do itのto do itを省略、ここでlateをthanの前に移動――to do what you have to do lateだとlateはto doのdoではなくhave to doのdoにかかってしまうのでlateをwhat節の前に置くa.のto do late what you have to doの語順になりますが、have to doのdo省略(b.)により、lateをthanの前に移動することが可能――lateとnotをコントラストさせると表現レベルで通用するd.になります。
ここで簡潔化をもう一歩推し進め、It is省略の大技で勝負すればe.。
文法の土俵から足を出さずに表現技を競うとすれば、ここが限界。ですからf.やg.は「勇み足」――と文法審判はくだりますが、そこは表現に「特別効果」あっての諺、文法を押し立てずに表現の顔を立てる特別扱いとなります。
構造簡潔化による語句のコントラスト強化の手法を、文末(第1の強調の座)単独(than以下1語)で際立つ、それ自体インパクトのある否定語(not、never)で加勢――これがf.、g.の表現手法の手の内。
| [問1] | f.とg.では、つまりnotとneverではどちらが表現的に上手か。 |
neverはnotより強意だからneverがupper handなんて単純論理、表現レベルでは通用しませんよ。ですがここではneverに軍配が挙がります。共に2音節で、アクセントのくる第1音節の母音は共に[e]、さらに語尾も「-er」で揃ったbetterとneverのペアが語句のコントラストを鮮明にしますから。
| [答] | g. |
ではひとつ復習、Better late than never.と変形的近縁であるもうひとつの諺Better safe than sorry.を変形的に生成してみましょう。
| [問2] | 空所に適語を1語ずつ補い、Better safe than sorry.に至る変形プロセスを完成しなさい。 |
10語(h.)が4語(k.)に簡潔化、言葉の節約で表現力を4語に集約――h.→i.でto不定詞句(to be safeとto be sorry)の比較から語頭「s」で呼応する2語safe、sorryの1対1のきびきびしたコントラストに変わり、このコントラストを極限まで強めると諺のk.。
| [答] |
少々文法を逸脱した表現の逸品をめでるためには、目に見えない背後の変形的動きがわかる必要あり、ですね。
| [問3] | 以下の諺を文法的に説明しなさい。 |
このdevilは「厄介事」でも「災難」でも「いやな奴」でもありますが、これはBetter the devil you know than the one you don't.(正体不明の悪魔より正体のわかっている悪魔の方がよい)の簡略版――英語版の「うわさをすれば影」にも悪魔が出現しますが、これも簡略版が一般的、短く切り詰めたきびきびした表現を好むということでしょうが、ひとつの諺に2度悪魔(the devilとthe one、the devilとhe)を出すのを忌む心理も働いているかも。
Better the devil you know.で最低限必要な文法説明は、Betterとthe devil (whom) you knowの文の要素(element of the sentence)――2つの語句の文の要素がわからないということはこの諺の文法がわからないということ、つまりさっぱりわからんということ。文意から判ずるとthe devil you knowは主語でBetterは補語らしい、でも補語がどうして主語の前にある? 動詞はどこへいった?――諺だから、で済ませるならno better than no explanation。
| [答] | 以下の変形プロセス。 |
変形のプロセスがすっかりわかると、この諺の文構造がすっきり理解できますね。ですが、これで、文法解説だけで満足できますか。文法だけで満足できるようでは、英語学習者としてまだ半人前。なぜって英語は「文法プラス技法」の言語――なぜthan以下を省略するのか、なぜ倒置するのか、なぜisを省略(こんな生意気なことをテストでやったらばっちりバツを食らいますぞ)するのか、この「なぜ」は文法ではなく技法の領域にあり、文法の「どのように」と技法の「なぜ」の両方が解けて初めて100%完璧な理解に至るのですから。
技法展開| [問4] | 以下2つの諺に共通する複数の表現テクニックの中で最も中心的な表現技法は何か。 |
文法の仕組である変形を表現力発揮の技法として活用するのが英語の頭、省略変形を駆使して文頭に立ったBetter late than never.のBetter、省略変形に倒置変形を連動させて文頭に躍り出たBetter the devil you knowのBetter――この2つのBetterは共に形容詞goodの比較級で補語、この際立つ文頭主語1語Betterの際立ちで文全体を際立たせる表現テクニックが最も中心的な表現技法。
| [答] | 単独トップ。 |
「単独トップ」なる英語の表現技法を初めて取り上げ、命名し、解説し、テーマ展開したのは「英語オンライン講座 ハイテク英語第1道場」Unit9「単独トップ」――オンライン講座なれば、いつからでも、居ながらに「文法プラス技法」の英語「大」学習で英語の真髄を習得できますよ。
Don't put off until tomorrow what you can do today.
When it comes to having a good command of English,
“the sooner, the better” is a whole lot better than
“better late than never”.
(今日できることは明日に延ばすなかれ。英語習得なら、
「早ければ早いほどよい」が「遅れてもしないよりまし」よりずっと、ずっとまし)
© 2006, 2010 遠藤緯己 All rights reserved.
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